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1-5 盟約の吸血鬼

受付嬢「・・・で、この娘が吸血鬼と?」

クエストカウンターに戻り、軽く事情を説明した。
ある10

受付嬢「ふむふむ・・・さすがに実物を見るのは初めてだが」

プルル「騎士団とかに連れて行くのもなんか違うなーって」

見た目はちょっと変わった女の子って程度だし、
多分連れて行っても信じて貰えないだろうなぁ。
それより、この子とはなんだか仲良くなれそうだし・・・

受付嬢「依頼人殿はどうしたいのだね?」

ブラム「俺は被害さえ無くなればそれで良いさ」

アル「わたくしが他者から血を吸わなければ良い、と?」

ブラム「まぁそんなところだ」

プルル「でもそれだとまた倒れるんじゃ・・・」

受付嬢「少し気になった事があるのだが
    そなたはぷるぷるから血を吸って回復したのか?」

アル「えぇ、そうですわ」

アンジュ「それがどうしたんですか?」

受付嬢「よく考えてみろ、ぷるぷるは「アルマ」だ
    ヒトを模していたとしても元がプルルである以上は
    体内までヒトと全く同じにまではできん」

アンジュ「え、そうなんですか?」

受付嬢「元が動物等の、比較的近しい存在ならまだしも
    プルルは植物系のモンスターだ
    加えて、ぷるぷるは形状にさえ不安定さが残っている」

アンジュ「言われてみると・・・何か垂れてます!」

プルル「うーん・・・こればっかりはちょっと難しいかな」

この姿を維持するのはみんなのおかげもあって大丈夫だけど、
見た目を大きく変えたりするのは何故かできないんだよね・・・
まぁ、それはみんなも同じみたいだけど。

受付嬢「アルマの姿はその魂に依存するところが大きくてな
    本人の意思だけでそう易々と変えられるものではないさ」

アル「なんだか難しい話ですけれど・・・
   つまり、ここに居るのは、その殿方以外はヒトでは無いと?」

受付嬢「まぁ、そんなところだ」

アル「そういえばわたくしが最初に襲った時・・・」

プルル「あ、うん・・・あれが私の本当の姿だよ」

受付嬢「吸血鬼というのは本来、ヒトの血を吸って生きるものと聞く
    だがそなたはヒトではないぷるぷるの体液を吸った
    それで体力が回復するのは不自然ではないかね?」

アル「言われてみれば確かに・・・
   あの妙な甘さは血とは違いましたし」

アンジュ「先輩って甘いんですか?」

プルル「多分樹液・・・?とかそういうのじゃないかな」

受付嬢「ゼリコのようなものだろう
    言うなれば、ゼリコポーションのタンクというところだ」

ゼリコポーションのタンク!?
そこまで言われるとなんか凹むなぁ・・・
私ってそんな風に思われてたんだ・・・

受付嬢「・・・いや、軽い冗談だぞ?」

プルル「それくらい分かってるけど・・・」

アンジュ「・・・ちょっと味見とか」

プルル「ダメだよ!?」

ブラム「お前ら、話が脱線し過ぎだろう・・・」

ですよねー

受付嬢「これは単なる憶測に過ぎないが・・・
    そなたは厳密には吸血鬼とは違う存在ではないか?」

アル「そんなはずありませんわ!
   わたくしは実際にヒトの血を吸って・・・!」

アンジュ「そうですよー!
     この間紙芝居屋さんの話に出てた吸血鬼さんにも
     すっごく似てると思います!」

受付嬢「紙芝居・・・?
    そういえばそんな事もあったのだったな
    吸血鬼の紙芝居・・・伝承とでも言うか
    それに目の前に居る吸血鬼・・・うん?」

ブラム「何か気付いたのか?」

受付嬢「その首筋にある文字は・・・」

アル「何ですの?」

プルル「あ、本当だ、何か書いてる」

受付嬢「L・O・V・E・・・ラブか
    なるほど、それは誘っているのだな」(ガタッ

アル「え、えぇ!?」

プルル「違うから!LOREだから!
    デスもこんな時に悪ふざけしないの!」

受付嬢「なんだ、つまらん・・・」

ブラム「・・・なぁ、こいつって何時もこうなのか?」

アンジュ「えーっと、そうですねー」

あ、やっぱり相変わらずなんだ・・・
みんな大変そうだなぁ・・・

受付嬢「LORE、「ロア」だな
    伝承や伝説という意味の単語だが」

アル「そんな文字があったなんて知りませんわ
   自分の首筋なんて見れませんし」

プルル「鏡で見れるんじゃないの?」

アル「吸血鬼は鏡に映りませんの」

プルル「それは女の子として大変そうだなぁ」

受付嬢「ふむふむ、なるほど・・・
    これは少々厄介な事になるかも知れんな」

プルル「何か分かったの?」

受付嬢「恐らくは我等「アルマ」と似ている存在
    想いの力によって具現化しているのだろう」

アル「想いの力・・・? なんですのそれは」

受付嬢「この世界にはいつからか知らんが
    想いが現実に作用するシステムのようなものがあってな
    その想いが強ければ強いほど、現実に及ぼす影響も強い」

プルル「そうだね・・・
    特にヒトの想いはすっごく強いんだよ
    それこそ、誰かを救えるくらいに」

受付嬢「モンスターがヒトの姿になれたりもするのだ
    物語を元に登場人物が具現化しても不思議ではあるまい」

アル「つまり、その紙芝居の話を元にわたくしが生まれたと?
   ・・・そんな馬鹿馬鹿しい事を信じると思いますの!?」

受付嬢「なら聞くがアルカードよ
    そなたはこの街に来る以前の事を覚えているのか?」

アル「それくらい当然・・・
   ・・・え?」

アンジュ「どうしたんですか?」

アル「違う・・・わたくしは、ちゃんと・・・
   違う、違う、嫌・・・!!」

プルル「ちょ、ちょっと大丈夫!?」

アル「わたくしはここにいますわ!
   わたくしの心はここにありますわ!
   わたくしは・・・う、ぐすっ・・・」

ある11

受付嬢「いきなり酷な事実を突きつけてしまったのは済まぬな
    ・・・正直、その泣き顔は色々とたまらないが」

うわぁ・・・言っちゃったよこの子。
確かに泣き顔も可愛いとは思うけど。
って、私も何考えてるのこんな時に!?

ブラム「けどよ、これからどうすりゃ良いんだ?」

受付嬢「そこなのだが・・・
    吸血鬼の事件そのものは
    アルカードが人々から血を吸わなければ終結するだろう」

アンジュ「でもそれだとアルカードさんのお体が・・・
     あ、じゃあ先輩やお知り合いの方から血を吸えば!」

受付嬢「残念ながら事態はそこまで単純に済みそうにないな
    アルカードが物語を元に具現化した存在だとすれば
    その具現化するだけの想いの力は何処から来ている?」

プルル「そりゃあ本人の・・・あれ?」

受付嬢「そう、本人の想いでは不可能だ
    存在を維持するだけならともかく
    物語という、情報そのものが形を成すには
    必ず外部の力が不可欠になる」

えーっと・・・
つまり・・・
あれ?

受付嬢「何を腑抜けた顔をしておる
    そなたが一番よく分かっているはずだろう」

プルル「私が?
    外部の力って、私は学校のみんなから・・・」

ブラム「そうか、紙芝居を見た周りの奴か!」

受付嬢「ご名答だ、依頼人殿
    物語を聞き、吸血鬼の存在を想像した人々
    そして人づてに広まった情報
    このアクロポリスに広まった吸血鬼の噂
    多くの人々が噂を聞き吸血鬼に恐怖感等を抱く
    その様々な想いを元に具現化したのがアルカードだ」

プルル「街の人達みんなの想いが集まったって事?」

受付嬢「まぁそんなところだな
    そして、そこに問題点もある」

ブラム「多くの人に依存する故の不安定さってか」

受付嬢「いや、事態はもっと深刻だ
    被害を抑える為にアルカードが吸血行為をしなくなれば
    人々の反応はどうなる?」

プルル「えーっと、吸血鬼が街から居なくなったと思って・・・あ!」

受付嬢「人の噂は移り行くもの
    関連する事象が全く起きなくなれば次第に感心が薄れてゆく
    人々からすれば当然の事であり、さほど影響は無いな
    だが、その噂を元に存在しているであろうアルカードは・・・」

ブラム「街の人に忘れ去られれば、存在を維持できなくなる」

プルル「なに、それ・・・」

受付嬢「もちろん、ここまで言った事は
    アルカードがそういった存在である事を前提とした憶測だ
    だが実際に事が過ぎてしまってからでは遅い
    本人が消える事を望んでいるなら別だが」

アル「そんな事・・・ある訳ありませんわ
   何か、方法はありませんの!?」

受付嬢「一応方法が無い訳では無いが・・・」

ブラム「今まで通りに吸血鬼として被害を出せば
    噂が無くなる事は無いだろうな」

プルル「それだと何も解決してないじゃない!」

ブラム「全くだな
    俺もその方法を許すつもりは無い」

アンジュ「それじゃあどうしようもないじゃないですか!」

受付嬢「・・・いや、まだ方法は残っているよ」

プルル「それを早く言ってよ・・・」

ほんとにこういうとこ意地悪いなぁ。
後は変な事にならなければ良いけど。

アル「もう後には退けませんわ
   こうなったら何でもやってやります!」

受付嬢「そうか・・・
    では、ちょっと余と向こうの物陰にだな」

プルル「こんな時にふざけないでよ!」

受付嬢「分かったからそんな怖い顔をするな・・・
    しかしこの方法も問題があってな」

ブラム「そもそもどういう方法なんだ?」

受付嬢「存在、魂を大多数の人々に依存している現状だが
    その魂を一個人と契約し、結び付けてしまえば
    契約者が忘れるような事が無い限りは大丈夫だろう」

アル「それで何が問題なんですの?」

受付嬢「契約者が誰になるか、だよ」

プルル「それなら私がやる」

アル「ぷるぷる、貴女・・・」

私はみんなに助けてもらった。
今度は、私が誰かを助ける番なんだ!

受付嬢「そう言うと思っておったよ
    だからこそ問題なのだが」

プルル「どういう事? 私じゃダメなの・・・?」

受付嬢「アルマ自体がダメ、と言った方が良いだろうな
    普通のヒトでもこういった契約を交わせば
    魂の在り方をお互いに惹き合い、影響が出る可能性がある
    我等アルマも想いの力に依存している部分が多い以上は
    恐らくヒトより強い影響が出る可能性がある」

プルル「だから無理だって言うの?
    目の前に消えるかも知れない子が居るのに
    黙って見ていろって言うの!?」

受付嬢「魂や想いが混ざり合ってしまい
    最悪、そなた自身が無くなってしまうかも知れんのだぞ」

プルル「私はもう消えたりなんかしない!
    みんなが助けてくれたこの想いを
    もう二度と消したりなんてするもんか!!」

受付嬢「・・・っ!
    ぷるぷる、そなたは・・・」

プルル「私は、絶対に大丈夫
    だから、この子を助けてあげて」

アル「全く、とんだお人好し・・・ですわね」

プルル「それだけが撮り得みたいなものだからね」

受付嬢「本当に良いのだな?
    後には退けぬぞ?」

プルル「当然だよ」

アル「・・・お願いしますわ」

受付嬢「それでは始めよう・・・
    二人共心を落ち着かせて───」








ある12

───ここは?
なんだか不思議な感覚・・・
あの変な本棚っぽいのは何だろう。

「ぷるぷる」

プルル「あっ」

アル「お互いが自我を保てているという事は
   どうにか無事に済んだみたいですわね」

プルル「だから言ったでしょ? 絶対大丈夫だって」

アル「フフ・・・そうですわね
   ・・・あの、ぷるぷる」

プルル「なに?」

アル「その・・・あ、貴女さえ良ければ、ですけれど
   わたくしの・・・お、お友達に・・・」

プルル「・・・ぷっ」

アル「なっ!? い、いきなり笑うなんて失礼にも程が───」

プルル「今更過ぎるよ
    もうとっくに友達、でしょ?」

アル「~~~!?」

ある13

プルル「これからもよろしくね、アルちゃん♪」

アル「アルちゃんって・・・まぁ、良いですわ
   これからは一蓮托生ですもの
   忘れたりなんて、絶対にさせるものですか
   貴女が嫌でも、ずっと付いて行きますわよ
   ですから・・・よろしく、ぷるぷる」









受付嬢「どうやら、事無きを得たようだな」

ブラム「俺たちは完全に蚊帳の外だったがな」

アンジュ「なんだかよく分からないうちに終わってしまいました!」

受付嬢「そんなものだ
    それで、このような結末でよろしいかな、依頼人殿?」

ブラム「ん? あぁ、そうだな
    良いものを見させて貰った気もするしな」

受付嬢「それは何より
    では、これにて此度は一件落着としようか」









「それにしても・・・」

「まさかぷるぷるが、あそこまで強い想いを秘めていたとはな」

「これはもしかすると、もしかするかも知れんな・・・」

「そうは思わんか?

            レイリーエよ」

「・・・・・・ふん」





ある14

「バレてたか」

「いや、普通バレるだろう」
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